鞆の浦地域医療プログラム
2024年7月から12月までの半年間に渡り、地域で活躍する地域医療のリーダー人材を育成する『鞆の浦・地域医療プログラム2024』に参加しました。奥出雲町は高齢化率46%と少子高齢化の最先端とも言えるまちです。医療・福祉の力が欠かせない環境において必要なのは、医療・介護サービス以外で暮らしを支えるための支援活動だと考えています。
私自身も奥出雲町で医療職のローカルキャリアを作ることができれば、新たな可能性が広がると思い、地域医療×起業をテーマにプログラムへ参加しました。
先日12月15日に最終成果発表会を終えたため、備忘録として半年間の振り返りを行います。
第1回 地域との関わり方
第1回は鞆の浦での現地開催で、さくらホーム創設者・羽田冨美江さんによる講義とまち歩きがありました。羽田さんは地域共生のまちづくりを医療福祉の視点から取り組み、現在はグループホームや地域密着型デイサービスをはじめとした11事業を展開しています。講義では20年にわたる鞆の浦とさくらホームのこれまでをお話いただきました。長い時間をかけて地域からの信頼を集めてきた羽田さんの想いと活動に心打たれる機会となりました。
まちあるきではさくらホームで事務を担当しているいじろさんにご案内いただきました。まだ移住して1年ほどの方ですが、地域のことをとても詳しく知っており学びの多い時間となりました。夜には日本三大火祭りの一つ「お手火神事」を見に行きました。火のついた大きな松明を男性たちが上下左右に揺らしながら神社まで運ぶ姿は圧倒されるような迫力でした。
第2回 ケアのデザイン
第2回定例会はオンラインでの開催でした。「ケアのデザイン」をテーマに3名の講師による講義が行われました。
医療福祉における建築・設計や空間をデザインする感情環境デザインについて学びました。
第3回 地域福祉と多文化共生、地域診断、防災と地域コミュニティ
第3回は福山市立大学の牧田先生による講義が行われました。鞆の浦にも外国の方が増えており、外国人の緊急時対応や地域で支えるために必要なことを学びました。奥出雲町にも2024年から留学生が30名ほど専門学校に入学されており、新しい風である一方で交通や住まい、地域住民との接点など様々な課題を抱えています。私も留学生と関わる機会があったため考え深い講義でした。二日目には尾道消防署の消防士さんによるフィールドワークがありました。実際の火事現場跡地や消防署の見学、救命救急士の方から現場のお話をしていただきました。福山市は島があるため、ボードで出動することもあり地域による防災の考え方や環境も異なることを学びました。
第4回 ヘルスケアビジネス
第4回はオンラインにて、株式会社キャピタルメディカ・ベンチャーズ代表の青木さんよりヘルケアビジネスについて講義がありました。地域における支援活動はボランティアになってしまうことも少なくありません。ビジネス視点を持つことで持続可能な取り組みになるということを学びました。
第5回 官民連携・コミュニティデザイン・地域診断実習
最後の現地研修が行われました。福山市役所で勤めていた方より行政機関とどのように協力すると良いのか行政側の視点でお話しいただいたことがとても新鮮でした。またコミュニティデザインの講義では、まちづくりにおいて全国の優れた実績を持つ自治体の事例や地域への入り方、コミュニティ形成について学びました。医療・福祉とまちづくりは切っても切り離せない関係性にあるため、まずは地域側を知る大切さを感じました。
2日目、3日目には鞆の浦の小学生が行う地域診断の実習に同席させていただきました。鞆の浦で地域活動を主体的に運営するシニアの方々を対象に小学生がインタビューを行いました。地域診断はコミュニケーションの中で対象者が抱える課題や環境の問題などを発見することを目的にしています。子どもたちが課題と感じることと、私たち医療職の目線で課題に感じることが違ったりと多面的に分析することの大切さを感じました。
最終成果発表会
12月15日に福山市で最終成果発表会が開催されました。半年間で自分が学び、どんなアクションに繋げていくのかを考え5分間のプレゼンテーションを行いました。私は成果発表をするなら、奥出雲の方に聞いていただきたいと思い発表の中でも紹介したNPO法人ともにの吉川さんに視聴していただきました。
私は『地域まるごとリハ室インターン』プログラムを考案し、奥出雲町を舞台に地域を学びたい、活動してみたい医療職を対象とした地域インターンシップを実施するためにプランを発表しました。このアイディアは2年前に奥出雲町に移住するときから構想していたため、ようやく来年から実装できるのではないかとワクワクしています。
プログラムに参加したことで、自分のアイディアが実践できそうだと具体的にイメージできたことが一番の成果です。起業コーディネーターとして、新たなチャレンジを発掘していくためにも私自身が活動し続けることが大切だと考えています。今年は学びの一年になったので、来年はしっかり実践に落とし込んでいきたいです!