奥出雲起業インタビュー#1 玉鋼アクセサリーで伝える「内から輝く力」

エピソード1・・・Mullein 磯田菜保子さん

こんにちは、奥出雲町地域おこし協力隊・起業コーディネーターの安田です。

私が届ける起業支援は、「やりたい」を「できる」にする小さな後押しを目指しています。今何か内に秘める思いやチャレンジしてみたい方にとって、先人たちの過去(=経験)はとても貴重です。これまで奥出雲で素敵な起業家たちに出会ってきたからこそ、ストーリーとしてお伝えしていきたいと思いインタビューを始めました。拙い文章かもしれませんが、皆さんのちょっとした勇気になれば幸いです。


今回インタビューしたのは玉鋼を用いたアクセサリーを制作、販売している磯田菜保子さんです。磯田さんは島根県出雲市で生まれ育ち、小さい頃から奥出雲のおばあさまの家に遊びに訪れたそうです。東京でデザインを学び、アクセサリーの魅力に惹かれたことから島根にUターンをされました。当時は地域おこし協力隊として活動をし、2021年に玉鋼アクセサリーの制作・販売を開始しました。

1400年続くたたら製鉄から生産される玉鋼の歴史と、玉鋼アクセサリーが生まれるまでのストーリーを磯田さんの想いとともに、お話いただきました。

◾️アクセサリー制作を始めた理由

物心ついたときから、自分に自信が持てず、いつも「自分なんて」と悲観的になりコンプレックスを抱えながら過ごした10代があります。歳を重ねると少しずつアクセサリーやお化粧など自分に少しの自信をもたらしてくれるものに出会っていき、小さなキラキラしたイヤリングを身につけるだけで「なんか一日頑張れる」そんな経験をしました。アクセサリーは、明るい気持ちにさせてくれる、ほんの少しだけ自信を持たせてくれたからこそ、私も背中をおす「ひとつのもの」として届けられる人になれたらと想い制作に至りました。

▪️起業するまでの経緯

25歳の時に、東京の学校でデザインを専門に学び、その時からアクセサリー制作をはじめました。学校のイベントで初めて販売し、自分が作った作品を手に取り、喜んでくれたお客さまの笑顔がとても印象に残っています。せっかくなら島根の素材を使ったアクセサリーを作りたいという考えが浮かび、奥出雲町で村下をしていたおじいちゃんたちと過ごした幼少期を思い出しました。小さい頃はおじいちゃんの家にいくと、山の中で青く光るリュウノヒゲなどを見つけるのが好きでした。そんな経験から、島根に帰って制作をしたいと強く思うようになり、島根に戻って制作活動をすることに決めました。

▪️起業するまでの道のり

奥出雲に移住した当時は、地域おこし協力隊として仕事をしながら天然石のアクセサリーを中心に制作活動をしていました。玉鋼を使うことは頭にはあったものの具体的に取り掛かるきっかけとなったのは、奥出雲町役場で開催された「玉鋼を使ったものづくりワークショップ」に参加したことです。そこで改めてたたら製鉄の歴史や村下さんの話を聞いたときに、玉鋼の魅力を再認識しました。

しかし玉鋼は一般的に販売されているものではないため、唯一玉鋼を扱っている刀匠さん等に何度も相談にいきました。貴重な素材であるためなかなか手に入れることは難しかったのですが、協力隊卒業後に今玉鋼を買わせていただいている刀匠さんと出会い制作に進むことができました。構想してから7年ほどかかりましたが、いろんな方の協力を経て現在も活動を続けられています。

◾️玉鋼の魅力とそれに込める想い

玉鋼は江戸時代から続く日本古来の「たたら製鉄」という製鉄法によって生まれる「鉧」(けら)を破砕したときにでる上質な鋼です。奥出雲町は良い鉄が採れることから、鉄産業で栄えてきました。先人達は切り崩した山を破壊することはなく、計画的な植林などで整えたことで今でも美しい棚田の風景が広がっています。蕎麦から始まり、運搬に使われた牛の糞を肥やしにして耕し、良質な土となって育てられてきたのが西の横綱と言われる仁多米です。玉鋼を生み出すたたら製鉄を継承する唯一の「日刀保(にっとうほ)たたら」は、奥出雲にしかありません。

玉鋼は、高殿(たかどの)と呼ばれる作業場で手製の土釜(炉)の中に、砂鉄と木炭を三日三晩、30分おきに絶えず入れ続けることでできます。こうして奥出雲は人の手によって作られ継承されてきた歴史があります。そんな玉鋼には自然由来の魅力と自然と共生しながら循環型の農業と繋がるものづくりの歴史があるからこそ、これからの時代にもアクセサリーという新しい形として伝え続けたいと思っています。

◾️アクセサリー制作過程とこだわり

刀匠さんから玉鋼を購入し、ピアスやネクタイピン、ブレスレットなど種類にあうサイズや色合いに削っていきます。日本刀の原料になるほどなのでとても硬く力のいる作業です。また玉鋼ならではのゴツゴツした素材を活かすために削りすぎないようにも気をつけています。中には生産過程で自然にできた酸化被膜によってオレンジ、紫、ブルー、ピンク、グリーンなど色味がでるのも玉鋼の特徴です。購入をご希望される方の中には色味の入ったものをオーダーされる場合もあるので、自然にできた色の魅力も感じていただいております。

また販売初期には女性用のアクセサリーとして制作していましたが、男性が買われることも多く最近では男性用のブレスレットやネクタイピンなども用意しています。玉鋼からは強さを感じたり、パワーがもらえるという声も多く性別問わず身につけていただけることもお客様から気づかせていただきました。

◾️起業してからの困難や課題

玉鋼を使えるようになるまで7年もの長い時間がかかりました。制作を始めてからも、思うように形が作れなかったり何度も失敗を繰り返しました。ですが、毎回地域の方や購入してくださるお客さまからの声を励みに、制作を続けてきました。今では県外からも訪れてくださる方もおり、人とのご縁により乗り越えてこれたのだと感じています。協力隊活動も含め奥出雲町で多くのつながりを産むことができました。応援してくださった方々がいたことが私が諦めなかった理由かもしれません。

また販路においても一番最初に販売スペースを設けてくださったのは絲原記念会に併設するカフェ『茶房十五代』さんです。たたら製鉄で栄えた絲原家の一角で販売できることは、歴史と合わせて玉鋼の魅力を伝えることができるのでとてもありがたいお話でした。お繋ぎくださった役場の方にも感謝しています。

編集長

絲原記念館奥に位置するカフェ『茶房十五代』
https://www.instagram.com/sabo_itohara/

◾️これから伝えたいこと、展望

ブランド名の “Mullein” はハーブの名前です。身体や心を癒してくれるハーブのように、背中をそっと押してくれるようなアクセサリーを作りたいという思いで名付けました。

身に着けると背筋が伸びて凛とした気持ちになれる、自分に自信が持てる、そんなアクセサリーがお届けできるよう心を込めて丁寧にお作りしています。

Mulleinはアクセサリーを通して、お客さまの内面の輝きを引き立てるお手伝いができたらと思っています。

この小さくも強い輝きをひとりひとりと届け続けていき、それは国や性別を越えて伝わるものでありたいです。

磯田さん、素敵なお話をありがとうございました。奥出雲で起業する理由やアクセサリーに込められた想いに触れることができ、心があたたかくなりました。小さな勇気を出そうとしている方に玉鋼アクセサリーが届き、奥出雲の歴史や職人が伝えてきた魂に触れる体験をしていただけますように。これからも応援しています!


⚫︎磯田さんInstagram

https://www.instagram.com/nahocome

⚫︎Mullein Instagram

https://www.instagram.com/mullein.accessory/

編集者

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